作成中シナリオ「死の波に揺られて」(序章1:客室から甲板へ)

 探索者達の中で最もDEXの高い探索者が一番最初に目を覚ます。

 目を覚ました探索者は、強い違和感を感じる。

 何も見えないのだ、目を開けても閉じても自信が真っ暗な闇の中にいる事がわかる。

 唐突な暗闇の中で強い恐怖を感じた探索者は(0/1D3)のSANチェックを行う。

 

 目を覚ました探索者は自由に行動する事が可能である。

 何も見えないが、自らの自身の服装は寝る前のものと同じであること、下半身から伝わる感覚から、自分がベッドの上にいる事が分かる。

 探索者は他の探索者に声を掛けて起こしても良いし、そのまま探索を続けても構わない。

 他の探索者に起こされた探索者のSANチェックは不要である。

 

 探索者が周囲を調べるような行動を行った場合は、手探りの感覚から、ここが自分の眠りについた客室で、部屋を照らす照明が消えている事から暗闇になっている事が分かる。

 探索者が再び眠りにつく等の探索を行わない行動を取った場合は、次にDEXの高い探索者が目を覚ます事にして良い。

 自発的に目を覚ました探索者は(0/1D3)SANチェックを行う。

 

 「部屋の明かり」について調べた場合、目星による判定を行う。

1 目星に成功

  探索者は暗闇の中、手探りで部屋の明かりを点けようとするが、スイッチを動かし

 ても明かりが点かない事が分かる。

  また、観光船の客室なのに明かり取りの窓すら設けられていないという事について

 強い疑問を抱く事だろう。

 

2 目星に失敗

  探索者は暗闇の中、手探りで部屋の明かりを点けようとするが、スイッチを動かし

 ても明かりが点かない事が分かる。

 

 「客室のドア」について調べた場合、以下の事が分かる。

  客室のドアは客室側からロックされており、手探りで鍵を開ける事が可能なのが分

 かる。

  客室のドアに対して聞き耳をする場合は、異様に分厚い扉であることから成功値に

 ー30の補正を掛ける。それでもなお成功した場合は、特に外から何の物音もしない

 ことがわかるだろう。

 

 「客室内」について調べようとした場合、以下の事が分かる。

  昨夜寝る前に見た時と変わらず、暗闇の中で2段ベッドが相対するように置かれて

 いる事がわかる。まだ起きていない探索者がいるのであれば、息遣い等から他の探索

 者が寝ている事が分かる。

  また、深い暗闇であることから、それ以上の情報については現時点では探索不可能

 である。

 

  探索者が明かりになるものを所有していて、使用を宣言した場合。

1 明かりになるものが電化製品である。

  昨日まで普通に使用できていたはずの機械が、なぜか故障しており、電源が付かな

 い事が分かる。

  複数の電化製品を所持していた場合は、全ての機器が故障している事が分かり、あ

 りえない状況に言い知れぬ不安を感じる。(0/1D3)SANチェックを行う。

 

2 明かりになるものが電化製品ではない。

  あなたは手探りで明かりを点ける事に成功する。

  部屋の中を照らす明かりは、まだ寝ている探索者が居るのであれば起こしてしまう

 だろう。

  客室は昨日寝る時に見た光景とまったく同じで特に気になる変化はない。

  2段ベッドが部屋の両側にある事が分かり、それぞれのベッドの傍に各探索者の荷

 物が置かれている、無くなっているものは無い。

  明かりが着いている状態でベッドを調べた場合、アイデアで判定を行い、成功した

 場合は、2段ベッドが客室と比べて比較的新しいものであることが分かる。

  また、明かりのスイッチを調べた場合、機能していない事が分かると共に、気が付

 いていなければ観光船の客室であるのに、明かり取りの窓すら無い事に強い疑問を抱

 くだろう。

 

 探索者が客室のドアを開けると、そこは船内の通路である。

 通路は昨日まで点いていた筈の照明が消えており、甲板に上がる階段からは僅かに朝日と思わしき光が差しているのが分かる。

 

 探索者が「船内の探索」を宣言した場合。

 探索者達は暗い船内を探索をしようとすると、寝ているときに感じた、身に降りかかる様な嫌な気配を感じ取る。

 明かりを持っている探索者が居る場合は、なぜか急に明かりが消えてしまい再度点ける事が出来なくなってしまった事が分かる。

 通常あり得ないこの状況に、探索者達は言い知れぬ不安を感じ取る。(0/1D3)のSANチェックを行う。

 キーパーは暗闇の中で探索を行うことは困難であると説明をする事。

 

 探索者が「甲板への移動」を宣言した場合。

 探索者は階段の上から差す明かりを頼りに甲板へ移動する。

 

序章2へ移動する。

作成中シナリオ「死の波に揺られて」(オープニング部分)

  • オープニング

   注意 ★~★のマークで囲んだ部分はキーパー向けの諸注意である

 

 探索者達はまぶしい太陽の日差しの下、大海原をクルーザー「遥かなる夢号」に乗ってぐんぐんと進んでいる。

 「遥かなる夢号」は、船長、船員3人、探索者達(3名を想定)が乗る程度の中型クルーザーである。

 船長のエイハブが操縦する船の甲板には心地よい潮風が吹いており、海上を跳ねる魚達に一喜一憂しながら、探索者達は普段経験することのない体験に心を躍らせている。

 

 探索者達は、港町の小さな旅行代理店に小さく広告が載った「幻の島発見ツアー」にそれぞれの経緯から申し込み、今回の小旅行に乗り合わせている。

 「幻の島」、アメリカ西海岸からクルーザーでおよそ2日程度の距離にあるというその島については、旅行代理店側から

 ・現時点で公になっている地図に、そんな島は一切載っていない事

 ・仮に島に到着できなかったとしても料金の返却は出来ない事

の2点について何度も注意されたが、探索者達はそれを承知の上で今回のツアーに参加した。

 

 探索者達は甲板で思い思いの時間を過ごしていると、しばらくして日が水平線に落ち、あたりが暗くなってきた。

 船は碇を降ろして海上に停泊し、船員たちは手際よく甲板に簡素なテーブルを広げ、豪華とは言えないが郷土愛あふれる海の幸をふんだんに使用したディナーが始まる。

 船員の一人(アントニオ)は各テーブルに着いた探索者達にワインかノンアルコールの飲み物を勧めて回る。

  アントニオ「お客様、お飲み物はいかがいたしましょう、船長もお気に入りのワインが本日のオススメでございますよ。」

  ★探索者達はワインかノンアルコールの飲み物を選択するか、又は慎重な探索者は飲み物を頼まないという選択をする事になるが、この飲み物はいずれも罠ではない。しかし、エイハブ船長はワインを特に好んでおり、ワインを選択した探索者には特別な好意を持って接することとなる。★

 

 ディナーの始まりと共に、エイハブ船長はすこし演技掛かった風にワインを右手で掲げながら次の様に挨拶をする。

  エイハブ「おお、わが遥かなる夢号に集いし冒険者達よ、大いなる志を持った仲間とめぐりあえたこの日に、まず感謝の乾杯を。」

 船長と探索者達はそれぞれのグラスを掲げ、乾杯をする。

  エイハブ「すでにご存じかとは思いますが、このささやかな船の船長をしておりますエイハブと申します、幾多の冒険を乗り越えた私の船なら、きっと皆様もご満足いただける大冒険の旅になることでしょう。」

 船長は自信満々といった風に胸を張りながら、ぐいとワインを飲み干します。

  エイハブ「とはいえ、皆さまも短いながら同じ船に乗る仲間、ということですから、どうでしょう、料理と飲み物を楽しみながら、ここで一つ皆それぞれ自己紹介というのは。」

 と言って、各探索者に自己紹介を促します。

   ★ここで探索者達に自己紹介を促す、各々の設定に伴った簡単な小話を織り交ぜても良い。★

 

 全員の自己紹介が終わったタイミングで、船長が再び話し始めます。

 船長は早くも酔いが回り始めて、少し顔を赤くしながら

  エイハブ「今回、我々が目指すのは地図にも載らない幻の島の発見でありますが。今回お集まりいただいた皆様のお話を聞いて、ますます気持ちが盛り上がるというものです。まぁ、私の仮説が正しければ、あと2日もあれば到着する計算ではありますがね。」

 と言い切ると、ガハハと笑います。

  気がよくなってきたのかエイハブは次第に演技臭さが抜けはじめ、すこしなまりのある英語で、次にこんな話を続けます。

  エイハブ「あぁ、皆さん私が酒なんか飲んで船の操縦は大丈夫かって?まぁ、任せてくだせえや、樽一杯のワインを飲んだ後に嵐の中を目隠ししながら無事切り抜けた事だってあるぐらいですからな。ただまぁ、皆さんは駆け出しみたいなもんだから言っときますがね、夜の海だけは気を付けてくだせえ、夜の海に一人きりになると海の魔物にさらわれちまうって話がありやしてね。まぁ、こりゃ夜の暗闇で甲板からひょいと足を滑らして落ちちまう阿呆な船員がどの時代にもいるから出来たお約束みてえなもんですがね。」

 と言って、再びガハハと笑います。

   ★何気ない船長の話であるが、勘の良い探索者であれば「夜に一人で甲板に居ると、深き者に海に引き込まれる」という本ゲームに設けられたトラップを説明している事に気が付くだろう。以後、序章以降において夜間甲板に一人でいる探索者が居た場合は、深き者の襲撃を受ける事になる。★

 

 ここで、探索者達は自分のグラスが軽くなっている事に気が付きます。

 すると、船員の一人が近づいて飲み物の注文を取り始めます。

   アントニオ「お客様、代わりのお飲み物はいかがいたしましょう、申し訳ありませんが明日以降の食事の兼ね合いから、お出しできるのはワインだけになってしまうのですが。」

キーパーは探索者達に、夜はかなり更けており、料理のほとんどは食べ終わっているこ

とを説明し、このまま残って船長とワインをつまみに話をするか、船室に戻って休むかを選ぶことが出来ると説明する。

 ★船長から情報を引き出すには再び飲み物を選択する必要が出てくるが、今回は強制的にワインを選択しなければならない状況にある。このワインについてもトラップは無いが、疑り深い探索者はワインを飲むことを避けるだろう。★

 各行動によって探索者が得る事の出来る情報は以下の通りである。

 

1 ワインを飲む

   船長は酒の味が分かる探索者にますます好意を覚えます。

   船長は気を良くしたのか、次のような話を始めました。

    エイハブ「今はなかなか、こういう冒険に興味のあるもんがいねえってんで、あんたらみたいな人達は貴重なのさ。俺はこれでも昔は冒険家って奴でね、この船だってそうさ、いまは改修して観光船にしちまったが、昔は冒険船として使ってたんだ、暇なら色々見て回るといい、冒険船だった頃の名残がまだ所々残ってるからな、冒険魂がわかるあんたならきっと興味が沸くはずさ。」

  そんな話をした後、夜も更けたし酒も回った事だから寝たほうがいいと船長に促さ

  れ、探索者は客室に戻ります。

   ※ワインを2回続けて飲んだ場合は、翌日二日酔いによる技能値減少のマイナス

補正をかけても良いかもしれません。

 

2 船室に戻って休む

   探索者は船長に対し丁重な断りを入れて客室へ戻り休息します。

 

探索者達は慣れない船旅と、食事の満腹感から、客室についた薄い明かりを眺めながらそのうち深い眠りへと誘われる。

 

探索者達はここで「聞き耳」の判定を行う、

1 聞き耳に成功

  聞き耳に成功した探索者は、まどろみの中で厚い船室の扉の向こう側から、何かが

 水面に落ちたような音を聞いたような気がした後、体になにか重苦しいものが降りか

 かるような感覚を抱く。

  あなたは不快な思いをしながらも、疲れからか引き続き眠り続ける。

 

2 聞き耳に失敗

  聞き耳に失敗した探索者は、ぐっすりと寝入ってしまうが、体になにか重苦しいも

 のを感じる。

 

オープニングはここまで、序章1へ移行する。

 

作成中シナリオ「死の波に揺られて」(キーパー向け導入)

  • タイトル「死の波に揺られて」

推奨プレイ人数 3人

舞台 現代アメリカ

 テイスト 海上ホラー

 

  • キーパー向けの諸注意(プレイヤーに開示しないこと)

このシナリオの最終目標は、呪いがかけられた船を探索者達の知識によって深き者どもの手から取り戻し、深き者が住む魔の島に到着する前に、魔の手から逃れることである。

物語の序盤で主要な人物(NPC)が続々と死ぬ・消失してしまう事と、時間的な制限がかかっている事から、探索者達には脱出に必要な情報をいかに効率よく集めるかについて考えさせなければならない。

 

本船「遥かなる夢号」の船長エイハブは秘境に眠る貴重なアーティファクトを盗み出しては数奇な収集家に売りつけて大金を稼いでいた過去があり、良く言えば「元冒険者」であり、悪く言えば「元盗掘屋」である。

危険な冒険が体に染みついている事から、クトゥルフ神話についても独学ながら多少の知識があり、仕事柄「魔除け」に関する諸雑学に詳しい。

しかし、幾度かの冒険の失敗による負債を補う為、エイハブ船長は冒険の相棒であり、愛船である冒険船「未知への冒険号」を観光船「遥かなる夢号」へと改修し3人の船員を雇い入れて、現在は観光客相手に近海を数日間クルージングする観光業に身を落としている。

 

今回のシナリオは、エイハブが雇い入れた船員アントニオから「深海に眠る幻の島」の噂話を耳にしたことで、本業と兼業を兼ねた「幻の島発見ツアー」を立ち上げ、観光客から冒険資金を募りつつ、あわよくば幻の島の宝を手に入れようと画策している。

しかし、この船員アントニオは「深き者ども」の眷属であり、過去の冒険でエイハブが盗み出した「深き者どもの秘宝(※要検討)」を取り返す為に忍び込んだ敵である。

 

アントニオ自信は宝の奪回が本来の目的ではあるが、不運にも船に乗り合わせた探索者達については、あわよくば魔の島に引き込んで眷属の仲間入りをさせてしまおうと考えており、探索者達はなんとしてもそれを回避する必要がある。

 

探索者達はアメリカ人であるか、母国語が英語である者、英語圏以外に居住する者を登場させたい場合は英語の技能を取得するか、英語が話せる通訳1名を伴っていることが望ましい。

職業については自由であるが、シナリオの都合上狂信者は選択できない。

戦闘についてはほぼ無いと言えるが、不用意な行動やうかつな行動を取った者は戦闘になる場合がある。

シナリオの展開上、運転技能(船舶)、機械修理を持った者が1人はいる事を推奨する。

 

探索者達が船に乗り合わせる事になった理由は自由であるが、登場するNPCとは全員が初対面であり血縁関係が無いものとする。

プレイヤー間の血縁関係や組織的な繋がりは自由である。