作成中シナリオ「死の波に揺られて」(オープニング部分)

  • オープニング

   注意 ★~★のマークで囲んだ部分はキーパー向けの諸注意である

 

 探索者達はまぶしい太陽の日差しの下、大海原をクルーザー「遥かなる夢号」に乗ってぐんぐんと進んでいる。

 「遥かなる夢号」は、船長、船員3人、探索者達(3名を想定)が乗る程度の中型クルーザーである。

 船長のエイハブが操縦する船の甲板には心地よい潮風が吹いており、海上を跳ねる魚達に一喜一憂しながら、探索者達は普段経験することのない体験に心を躍らせている。

 

 探索者達は、港町の小さな旅行代理店に小さく広告が載った「幻の島発見ツアー」にそれぞれの経緯から申し込み、今回の小旅行に乗り合わせている。

 「幻の島」、アメリカ西海岸からクルーザーでおよそ2日程度の距離にあるというその島については、旅行代理店側から

 ・現時点で公になっている地図に、そんな島は一切載っていない事

 ・仮に島に到着できなかったとしても料金の返却は出来ない事

の2点について何度も注意されたが、探索者達はそれを承知の上で今回のツアーに参加した。

 

 探索者達は甲板で思い思いの時間を過ごしていると、しばらくして日が水平線に落ち、あたりが暗くなってきた。

 船は碇を降ろして海上に停泊し、船員たちは手際よく甲板に簡素なテーブルを広げ、豪華とは言えないが郷土愛あふれる海の幸をふんだんに使用したディナーが始まる。

 船員の一人(アントニオ)は各テーブルに着いた探索者達にワインかノンアルコールの飲み物を勧めて回る。

  アントニオ「お客様、お飲み物はいかがいたしましょう、船長もお気に入りのワインが本日のオススメでございますよ。」

  ★探索者達はワインかノンアルコールの飲み物を選択するか、又は慎重な探索者は飲み物を頼まないという選択をする事になるが、この飲み物はいずれも罠ではない。しかし、エイハブ船長はワインを特に好んでおり、ワインを選択した探索者には特別な好意を持って接することとなる。★

 

 ディナーの始まりと共に、エイハブ船長はすこし演技掛かった風にワインを右手で掲げながら次の様に挨拶をする。

  エイハブ「おお、わが遥かなる夢号に集いし冒険者達よ、大いなる志を持った仲間とめぐりあえたこの日に、まず感謝の乾杯を。」

 船長と探索者達はそれぞれのグラスを掲げ、乾杯をする。

  エイハブ「すでにご存じかとは思いますが、このささやかな船の船長をしておりますエイハブと申します、幾多の冒険を乗り越えた私の船なら、きっと皆様もご満足いただける大冒険の旅になることでしょう。」

 船長は自信満々といった風に胸を張りながら、ぐいとワインを飲み干します。

  エイハブ「とはいえ、皆さまも短いながら同じ船に乗る仲間、ということですから、どうでしょう、料理と飲み物を楽しみながら、ここで一つ皆それぞれ自己紹介というのは。」

 と言って、各探索者に自己紹介を促します。

   ★ここで探索者達に自己紹介を促す、各々の設定に伴った簡単な小話を織り交ぜても良い。★

 

 全員の自己紹介が終わったタイミングで、船長が再び話し始めます。

 船長は早くも酔いが回り始めて、少し顔を赤くしながら

  エイハブ「今回、我々が目指すのは地図にも載らない幻の島の発見でありますが。今回お集まりいただいた皆様のお話を聞いて、ますます気持ちが盛り上がるというものです。まぁ、私の仮説が正しければ、あと2日もあれば到着する計算ではありますがね。」

 と言い切ると、ガハハと笑います。

  気がよくなってきたのかエイハブは次第に演技臭さが抜けはじめ、すこしなまりのある英語で、次にこんな話を続けます。

  エイハブ「あぁ、皆さん私が酒なんか飲んで船の操縦は大丈夫かって?まぁ、任せてくだせえや、樽一杯のワインを飲んだ後に嵐の中を目隠ししながら無事切り抜けた事だってあるぐらいですからな。ただまぁ、皆さんは駆け出しみたいなもんだから言っときますがね、夜の海だけは気を付けてくだせえ、夜の海に一人きりになると海の魔物にさらわれちまうって話がありやしてね。まぁ、こりゃ夜の暗闇で甲板からひょいと足を滑らして落ちちまう阿呆な船員がどの時代にもいるから出来たお約束みてえなもんですがね。」

 と言って、再びガハハと笑います。

   ★何気ない船長の話であるが、勘の良い探索者であれば「夜に一人で甲板に居ると、深き者に海に引き込まれる」という本ゲームに設けられたトラップを説明している事に気が付くだろう。以後、序章以降において夜間甲板に一人でいる探索者が居た場合は、深き者の襲撃を受ける事になる。★

 

 ここで、探索者達は自分のグラスが軽くなっている事に気が付きます。

 すると、船員の一人が近づいて飲み物の注文を取り始めます。

   アントニオ「お客様、代わりのお飲み物はいかがいたしましょう、申し訳ありませんが明日以降の食事の兼ね合いから、お出しできるのはワインだけになってしまうのですが。」

キーパーは探索者達に、夜はかなり更けており、料理のほとんどは食べ終わっているこ

とを説明し、このまま残って船長とワインをつまみに話をするか、船室に戻って休むかを選ぶことが出来ると説明する。

 ★船長から情報を引き出すには再び飲み物を選択する必要が出てくるが、今回は強制的にワインを選択しなければならない状況にある。このワインについてもトラップは無いが、疑り深い探索者はワインを飲むことを避けるだろう。★

 各行動によって探索者が得る事の出来る情報は以下の通りである。

 

1 ワインを飲む

   船長は酒の味が分かる探索者にますます好意を覚えます。

   船長は気を良くしたのか、次のような話を始めました。

    エイハブ「今はなかなか、こういう冒険に興味のあるもんがいねえってんで、あんたらみたいな人達は貴重なのさ。俺はこれでも昔は冒険家って奴でね、この船だってそうさ、いまは改修して観光船にしちまったが、昔は冒険船として使ってたんだ、暇なら色々見て回るといい、冒険船だった頃の名残がまだ所々残ってるからな、冒険魂がわかるあんたならきっと興味が沸くはずさ。」

  そんな話をした後、夜も更けたし酒も回った事だから寝たほうがいいと船長に促さ

  れ、探索者は客室に戻ります。

   ※ワインを2回続けて飲んだ場合は、翌日二日酔いによる技能値減少のマイナス

補正をかけても良いかもしれません。

 

2 船室に戻って休む

   探索者は船長に対し丁重な断りを入れて客室へ戻り休息します。

 

探索者達は慣れない船旅と、食事の満腹感から、客室についた薄い明かりを眺めながらそのうち深い眠りへと誘われる。

 

探索者達はここで「聞き耳」の判定を行う、

1 聞き耳に成功

  聞き耳に成功した探索者は、まどろみの中で厚い船室の扉の向こう側から、何かが

 水面に落ちたような音を聞いたような気がした後、体になにか重苦しいものが降りか

 かるような感覚を抱く。

  あなたは不快な思いをしながらも、疲れからか引き続き眠り続ける。

 

2 聞き耳に失敗

  聞き耳に失敗した探索者は、ぐっすりと寝入ってしまうが、体になにか重苦しいも

 のを感じる。

 

オープニングはここまで、序章1へ移行する。